地元が消滅する前に。「佐久間」のために生きると決めた瞬間|静岡新聞SBS 大見拳也

2022年9月にプレオープンする街中のコミュニティワークスペース「SOU(ソウ)」。浜松市内で複数のコワーキングスペースを運営する株式会社デクシィが新しく始めるこの場所は、「好きと出会う」をテーマに、イベントや勉強会などの開催しています。

今回はそんなSOUでイベンターをしている、静岡新聞社・静岡放送の大見さんに生き方の軸を見つけたお話を伺いました。

プロフィール

株式会社静岡新聞社・静岡放送株式会社
地域コーディネーター 大見拳也

浜松市天竜区佐久間町出身。大学卒業後、佐久間のために生きると決めて、静岡新聞SBSに入社。現在は佐久間を盛り上げる活動と会社の仕事、二足のわらじで働いている。2021年、遠州の30代をエンパワーメントする「えんそくプロジェクト」を立ち上げる。

目次

佐久間を軸に生きると決めた

浜松の佐久間町に生まれました。東京の大学に在学中、就職活動を周りと同じようにはじめ、ネクタイをして就活をしていましたね。人生をかけて熱中できるものはなく、強みもやりたいこともなかった時期です。自分の存在って一体なんなんだろうと、悩む日々が続きました。

そんなとき、大学の休暇中に、一時期的に佐久間に帰省しました。昔のような賑わいのある祭りはなくなり、元気を失った街に愕然としました。佐久間町の人口は2万6000人をピークに減り続け、今は2800人ほど。この50年で10分の1まで人が減って、商店や飲み屋はもちろん、街から人っけがなくなっていたのです。

「自分の地元はいずれ消滅するんだ」。

厳しい現実を前に、強烈な焦りを感じました。

同級生もほとんど街から出て、残っていません。

「誰かがやらんと、街はなくなる。それなら俺がやる」と佐久間のために力を尽くすことを決めました。当然、根拠もありません。「でもやるんだ」という気持ちが自然と生まれてきました。

人生の歯車が噛み合い始める

佐久間を人生の軸にすると決めたら、全てがうまく進んでいきました。自分の強みは、佐久間で育ったことで、やりたいことも、佐久間への恩返しなんです。何もない自分だから、佐久間のために生きようと自分に言い聞かせました。

だから、東京から地元に帰って、NHKでアルバイトした経験を活かして、地域メディアに就職をしました。それも、全て佐久間のために何かしようと思ったからの決断です。全て腹落ちして、自分らしい選択ができました。

就職してからも、軸は佐久間にあります。まずは、佐久間若者サミットという団体を立ち上げました。コアメンバー3人で始めたこの団体も、少しづつメンバーを増やしながら、静岡文化芸術大学のゼミと提携し、若い力で地域に何ができるか模索し続けています。

スキルアップのために浜松いわた信用金庫主催の創業スクールに通ったら、今までは混じり合うことがなかった業種の人たちと横の繋がりができました。自分のやっていることに興味を持って応援してくれる仲間が出てきて、自信が生まれたのを覚えています。

やりたいことと、仕事の狭間で葛藤を抱える3年

創業スクールで繋がりができていくと、会社がつまらなく感じてきました。もっと佐久間のために時間を割きたいと思う気持ちが強くなり、本業にも支障をきたしていました。ちょうど30歳前後の3年くらいは暗黒期ですね。子供ができて将来への不安が募るだけでなく、このままこの会社で働いていいのかと葛藤を抱えていました。

転機は、上司の一言。 人事異動で着任したての上司からお茶に誘われ、唐突に「佐久間をなんとかしたいなら、会社を利用して本気でやれよ」と言われたんです。

「会社って利用していいんですか?」という衝撃がありました。会社と個人は別物だと思っていたからです。

どうせ辞めるなら、今の立場を使い倒して、辞めてやろうと。上司の言葉で吹っ切れました。

それまでこっそりやっていたものも、とりあえず上司に報告してみるようになり、徐々にリモートワークができるようになったので、週に一回佐久間で働きますと勝手に宣言しました。

成果さえ出していればいいよと認めてくれる上司。そこまでいわれると、「会社に貢献しないとマズイ」という不思議な気持ちが生まれました。あれだけ会社に貢献する気持ちが薄かったのに、今は貢献したくてたまらないんです。

30代の悩める人たちと一緒に悩み続けたい

30代でキャリアに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?案の定、周りの同世代に聞いたら、同じく悩んでいました。僕だけの問題ではなく、30くらいでみんなそういうタイミングが来るんだなって。企業もそこを対策しないと、辞めていく人が後をたたない。だから、「えんそくプロジェクト」を立ち上げることにしました。

えんそくプロジェクト

‘福業’は自分たちで掴み取れ。遠州の若手サラリーマンがいきいきと働き、もっとワクワクする地域を目指した活動。

「今日ここからでも少し幸せに働ける」をバリューにしています。転職しなくても、一人ひとりが自分らしく幸せに働けるというのがゴールです。その先に、起業や複業があってもいいし、今の仕事にもっとこだわってもいい。僕がそうだったように、逃げるように転職するのは辞めさせたいんです。

僕は佐久間に助けられています。仕事も、佐久間があるから割り切れる部分は割り切って。そうした自分の軸を、みんなが見つけられるといいのかなと思っています。会社の外という環境で、フラットな関係性から自分の好きを見つけられる場所とも言えるでしょう。

SOUで挑戦したいこと

SOUではスナックをコンセプトにイベントをやりたいと思っています。

コロナで行きつけだったスナックが2軒なくなり、いく場所がなくなったことが大きいですね。スナックって、究極のコミュニケーションなんですよ。横のお客さんと意気投合したり、カラオケでは変な一体感が出てきます。悩める30代が気軽に集まって、カウンターに向かいながら、話ができる場所にしたいです。お酒が飲めなくてもフラッと寄れて、新しい出会いが生まれるといいなと。サラリーマンに仕事場と家庭とは別の場所を作りたいですね。

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